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2005年05月22日

ヤブヘビイチゴの実を探しつつ...

(木原 章 : 2005年05月22日 17:52)コメント (1)

昨日、勉強会のメンバーでもある登坂さんと、秀さんと公園でヨツボシトンボの産卵などを観察した。その帰り道で、登坂さんが「これがヤブヘビイチゴですね。」と教えてくれた。更に、そのすぐ横にはヘビイチゴが生えている。おりしも、5月の勉強会の課題としてボツになった「ヤブヘビ」課題の題材がそこに広がっていると言う訳だ。
そこでこの週末に、ヤブヘビイチゴとヘビイチゴの比較・研究を行うことになった。
(以下に示した写真では、すべて左側がヤブヘビイチゴ、右側がヘビイチゴに成るように配置した。)
まず初心者として、花から比べるのが順当だろう。
そこで、とりあえず花を撮ってみた。たまたま、花の位置から斜め上から撮る事になったが、帰宅してインターネットで調べてみると、「副萼片」と言う萼片の下側に花びらと同一位置に広がる構造物の違いが特徴として判明した。確かに写真で見ると一目瞭然で、左のヤブヘビの方は副萼片の存在感が著しい。なんてことない!ピースオブケークでは無いか!これほど簡単に2つの種を区別できるとは知らなかった!


翌日、イチゴの果実の写真撮影に出かけた。小生としては珍しく9時には現地到着。まずは、昨日のヤブヘビのチェックに行ってみた。...と、せっかく覚えたはずの判別法が使えない事態に遭遇してしまった。どちらの花も朝は閉じているのだ。その結果、どちらも副萼片が著しく開いて見える。せっかく覚えた判別法が、ここでは使えない!特にヘビイチゴの萼片は花びらと一緒に閉じ、大きさの判別が難しい。


そこで、今度は葉の形態比較を行ってみた。色の違いや大きさの違いが良く図鑑などに書かれているが、フィールドでどちらか一方だけを見た場合、その手の形態比較は使えない。はっきりと区別できる形態の違いを見いださなければ。
葉の形を見る限りは、どうやら区別は難しそうも無い。...と隣り合って生えている両種を比べて思った。写真を見れば判るように、明らかにヤブヘビイチゴの葉の方が先端がとがっている。しかし、実はこの「決定的」とも思えた形態も、葉が閉じかかっている時は判別が難しいことを、後で経験することに成る。ヘビイチゴの葉が、微妙に閉じた状態で生えている場合、きちんと展開して形態を比べないと、一見先端がとがって見えるのだ。


昨日、園内のイチゴと言うイチゴを片っ端から採ってスーパーの袋に詰めているアベックが居た。ヤブヘビイチゴの実は、中身がスカスカで食べてもうまくもなんとも無いと言われているが、少なくとも歩道沿いに咲いているヤブヘビイチゴの果実は一つも見つけられない。なんとか、薮に隠れた綺麗な果実を一つ見つけることができた。ヘビイチゴの実は小さいせいも有って、いくつか残っていた。そこで、果実の拡大比較写真である。ヤブヘビイチゴ(左)の果実の表面は赤色で、ツブツブ(種子)の突起の表面はテカりが有って滑らか。ヘビイチゴでは、果実の表面が白っぽく、ツブツブの表面には更にツブツブが...と図鑑通りの違いを写すことができた。とは言え、フィールドで肉眼でこの判別をすることは、少なくとも40歳の後半に達している人間には無理である。やはり、ルーペを携帯する習慣を付けた方がよさそうだ。


さて、そこで練習問題。本日の課題研究の最後に出会った「黄色い花」です。これは、ヤブヘビイチゴでしょうか?それともヘビイチゴでしょうか?撮影の角度のせいか、副萼片が微妙に大きく見えています。葉の形は、これも撮影の角度も関係して先がとがって見えています。
小生の結論は「ヘビイチゴ」です。実は、この花を斜めから撮影した写真で、副萼片が明らかに萼片より小さかったからです。
うん、植物の分類は、そうかんたんでは有りません。
(本日の観察種)
田仲、登坂、登坂ジュニア


コメント

ここまで詳しく解説してもらうと、今度はぜひ自分の目で確かめてみよう、と思いますね。(これでヤブヘビの祟りもなくなったのでは?)

投稿者 しまりん : 2005年05月22日 22:42

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