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Nag00425 (更新日:2017.5.19) 第一報告者:都市基盤整備公団, 2000.3.31
[以下、東京都高尾自然科学博物館パンフレットより許可を得て引用] 他の草が枯れ始めた晩秋から初頭の頃、注意して見ると、細くて柔らかそうな、小さな葉の小さな塊が、枯れ草のあいだからのぞいています。 この葉の塊は冬のあいだに少しずつ大きくなって、春先になると穂を出して花を咲かせます。花といっても派手な花びらもなく、蜜も出さないで、黄色いおしべがのそくだけ、愛想のない風媒花です。気温が上がってくると、花を咲かせながら急に大きくなって、ふつうは初夏、他の草が大きくなってくること一生を終わります。 頼りないような小さな草ですが、このスズメノカタビラはほとんど世界中に広がるほどたくましい一面を待っています。冬の間は他の草が枯れるので、植物にとって一番大事な“光”が地面まで届きます。地面付近は霜が降りることもありますが、太陽が出れば昼間は暖かい日もあり、風当たりも弱いので、活動するチャンスはあるもです。スズメノカタビラが実際に冬の間んに大きくなっていることが、それを示しています。 冬は確かに活動しにくい季節かもしれません。多くの植物や昆虫が冬眠の状態になるのは、理由のあることです。でも、他のみんながそうして休んでいるときに、何とか活動できるならば、他の草に邪魔されずに、太陽の光を受け取ることができるのです。夏のようにいきおいよく生長することはできないかもしれませんが、植物にとっては助かります。病原菌も不活発になるでしょう。そしていくらかでもよけいに種子を残すことができるならば、冬はただじっとして過ぎるのを待つだけの季節ではなく、利用するだけの価値ある季節になるのです。 そのつもりで見ると、冬でもいろいろな“緑”があることがわかります。その緑がほんとうに冬も間活動しているのかどうかは、見かけからはわかりませんが、実際に活動している緑は確かにあるのです。
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