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シマスズメノヒエ
学名:

植物単子葉植物綱イネ目イネ科

Nag00417 (更新日:2017.5.19) 第一報告者:都市基盤整備公団, 2000.3.31

解説

[以下、東京都高尾自然科学博物館パンフレットより許可を得て引用]
何本かの軸に丸い小穂をずらりと並べた姿は、特徴に乏しいイネ科植物の中では独特のものです。南アメリカの原産で、牧草として使われています。穂に毛がなく、葉に毛があるスズメノヒエPaspalum thunbergii Kunthは、もともとい日本にあったものです。
 ヒエEchinochloa utilis Ohwi et Yabuno というのは、古くは雑穀として栽培されていた植物で、イヌビエEchino-chloa crus-galli(L.)Beauv.var.caukata(Roshev.)Kitag.の仲間です。スズメノヒエは、ヒエやイヌビエとはあまり似ていませんし、同じ仲間でもありません。
 スズメノヒエの仲間は、熱帯を含む温暖な地域がふるさと植物です。日本でも、夏を中心とした生活をする多年草です。多くのイネ科植物と同じく風媒花ですから、花と実の違いがわかりにいので、目を近づけてよく見るか、虫眼鏡で拡大して見るか、手触りで確かめましょう。
 植物が花を咲かせるようになった太古の昔は、風媒花ばかりだったのが、もっと効率の良い虫媒花が進化し、花も華やかになってきました。イネ科植物の「風媒」は、一旦虫媒花になったものが、再び風媒花になったもので、花の構造も虫媒花をもとにして再構成されています。花粉媒介の効率が悪いはずの風媒花に、なぜ再び進化したのか、確実な理由はわかりません。ただ、次のように考えられています。
 陸地が植物で被いつくされると、一次的に植生の壊された空き地を頼りに生きる比較的短命な植物が生まれましたが、そのような場所に、花粉媒介昆虫が住みつくにが、少し時間がかかります。そこで昆虫に発見されたり、昆虫が付近に住みつくのを待つ必要のない風媒花に戻るものが現れ、増えていったというのです。
 花に頼って生きる昆虫は、ふつう一種の花だけでは生きられず、一年を通じていくつもの種類の花が咲き継いでくれないと生きられません。植物が、より環境の厳しい空き地、それゆえ他の植物との競争のない場所へと広がっていけば、昆虫がついてこられないことも起こります。その時、どこにでも吹く風は、確実な花粉の運び手として、再び注目されたのでしょう。

フォトデータ一覧

シマスズメノヒエ
花序
(内野秀重, 2006.6.19)




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