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Nag00388 (更新日:2017.5.19) 第一報告者:都市基盤整備公団, 2000.3.31
[以下、東京都高尾自然科学博物館パンフレットより許可を得て引用] 春、草地の中に黒っぽい塊が出てきます。これは花の集まった“花頭”で、黄色い雄しべが出てきます。全体にぽやぽやっとした毛が生えているのも特徴です。 一見すると、葉っぱや茎の様子はイネ科グループやカヤツリグサ科の植物と似ていますが、花をよく見るとイネの穂とは違って、地味ながら、3枚ずつのがくと花弁に囲まれて、6個のおしべと1個のめしべがある、普通の花と同じ形です。イグサ科というグループに分類され、l名時科には畳表をつくるイグサがあります。 同じ花の中では、先にめしべが熟して、その後でおしべが熟す雌性先熟で、これは自家受粉をしないための手段ですが、どちらが先に熟すかは、植物によって違っています。自然界では雄が先に熟したり、雌雄異株の場合でも雄花が先に咲く傾向があるようで、雌のほうが先に熟すタイプは少ないようです。 自家受粉しない性質は植物の世界でも広く見られ、アオキのように雄株と雌株があると自家受粉は起こりようがありません。同じ花の中におしべとめしべがある時は、おしべとめしべが動じに熟さないようにして、少なくとも同じ花の中で受粉しないようになっていることが多いのです。また、サクラソウの仲間はめしべの長い花を咲かせるものと短い花の咲く株があって、自分と違う形の花からしか花粉を受け取らない仕掛けになっています。目に見える仕掛けがないものでも、自分の花粉を見分けて、自分の花粉がついてもその活動を抑えてしまうものもあり、便利なはずの自家受粉は、避けられるのが常です。 子供(種子)をつくるのにいちち卵(胚珠)と精子(花粉)をつくって受粉するというのは、余分に手間暇がかかり、受粉できないで失われる花粉の量を考えると、単にたくさんの子供をつくるためならば無駄なのです。世の中の生き物の大部分がこのような優勢繁殖をしているからといって、これが“子供を残すため”だと結論するのは気が早いというものです。優勢繁殖を通じて生き物がしていることは、遺伝子を組み換えていろいろな子供をつくるということで、子供の数を犠牲にしてまで、個性をつくる意味は何でしょう? この問題はまだ解決されていません。
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