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ヤブカンゾウ
学名:

植物単子葉植物綱ユリ目ユリ科

Nag00363 (更新日:2017.5.19) 第一報告者:都市基盤整備公団, 2000.3.31

解説

[以下、東京都高尾自然科学博物館パンフレットより許可を得て引用]
夏、はっとするほど鮮やかなオレンジ色の大きな花が、草原に現れます。近づいてみると、八重咲きのユリのような形の花で、花が一重のものはノカンゾウHemerocallis fulva L.var. longituba (Miq.) Maxim.といって花も草丈もヤブカンゾウより少し小型です。
 ノカンゾウに比べてヤブカンゾウは大きいだけでなく、ノカンゾウの花が色合いの減かが大きいのに、ヤブカンゾウは皆同じ様なオレンジ色です。学名を見ると同じ種の中の“変種”扱いになっています。それというのも、ヤブカンゾウは3倍体(遺伝子を3組持っている)で、2倍体のノカンゾウから生じたと考えられ、種子繁殖ができないからです。
 ノカンゾウが野山に多いのに、ヤブカンゾウが人家周辺に多いのは、若芽とつぼみが食べられるので、人が増やして植え次いだのかもしれません。同じように3倍体で種子ができないのに、人が植えることによって人家の周りに拡がっていった植物には、他にヒガンバナがあります。こちらは毒抜きをして飢餓の時に食べたという話も伝わっています。
 もっと近づいてよく見てみましょう。花びらの中にはおしべになりそこなって花びらになったようなのがあります。八重咲きの品種の花は、たいていがこうして、おしべになるはずのものが花びらに変わったために、ふつうより多くの花びらができているのです。ちゃんとした柄のないおしべもいくつか見られます。
 花びらもがくもおしべもめしべも、実は葉っぱが形を変えたものと考えられています。光から糖をつくる役目を果たす緑の葉っぱが、卵(胚珠)をつくってそれを包むようになったのがめしべ、花粉を運ぶ虫を引きつけるためにきれいな色がつくようになったのが花びらで、これらをつぼみの時に守るのががくとなり、一つの花をつくっています。一つの葉が花びらになるのか、おしべになるのかは、できる位置によって決められていますが、この調節が狂ったり、中途半端になると、ヤブカンゾウの花のようなことが起こるのです。

フォトデータ一覧

ヤブカンゾウ

(川端恒夫, 2002.6.24)

ヤブカンゾウ

(内野秀重, 2006.7.3)



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