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ブタクサ
学名:
Ambrosia artemisiaefolia

植物双子葉植物綱キキョウ目キク科

Nag00303 (更新日:2017.5.19) 第一報告者:都市基盤整備公団, 2000.3.31

解説

[以下、東京都高尾自然科学博物館パンフレットより許可を得て引用]
ブタクサというのは英語のHog weedをそのまま訳した名前で、北アメリカ来た帰化植物です。1年生なので、4月か5月頃には、注意すると芽生えたばかりのブタクサが見つかります。
 夏から秋にかけて、花が咲き、実が実ります。先の方に穂になって咲くのは雄花で、雌花は下の方で葉の付け根に咲き、花の数も雄花に比べてずっと少ないので、目立ちません。風媒花なので、虫媒花に比べると、はるかにたくさんの花粉を出すので、花粉症の原因にもなります。日本ではスギ、ヒノキほど話題にはなりませんが、ふるさとの北アメリカでは猛威をふるっているようです。花粉症の原因としては、かつてセイタカアワダチソウが悪者にされたことがありましたが、セイタカアワダチソウは虫媒花なので、花粉の量も少なく、花粉を遠くへ飛ばすこともありませんから、間違い無く濡れ衣です。むしろ花の少ない都市近郊で、蜂蜜の蜜源として貴重な植物でしたが、一時はどこにでも広がっていたのに、いつのまにか少なくなってしまいました。なぜこんなことになったのか、答えは得られていません。
 昆虫に花粉を託す場合と違って、風任せになると、運ばれていく先が不確かなぶんだけ余分の花粉をつくらなければなりません。ブタクサは菊科に属し、元は虫媒花として進化してきたものが、風媒花に変わったものです。風媒花の方が花粉を送る効率が悪いのに、わざわざ花粉を託す相手に選んだのは、昆虫の少ない環境に入り込んだ代償でしょうか。そういう環境とは、どんなところなのか、ブタクサのふるさとを見てみたいとは思いませんか?
 多摩川の河川敷などでは、もっと大きくなるオオブタクサがたくさん生えています。葉の切れ込みはブタクサに比べて少ないので、見た感じはずいぶん違った印象ですが、花の形と、花の付き方はそっくりで、ブタクサより早く、2月頃から芽生えるためか、1年にも満たない間に人の背丈をはるかに越えてしまいます。この体の大部分を占めるのは炭水化物、つまり空気中から取り込んだ二酸化炭素からできていることを考えると、十分な水と光と土壌の栄養があれば、植物が二酸化炭素を吸収する力はすごいものになるはずです。
 太古の地球の空気は、酸素が無くて二酸化炭素が多かったのが、今のようになったのは、全て植物の力だというのも納得できます。

フォトデータ一覧

ブタクサ

(美地麗湖, 2005.7.13)

ブタクサ

(美地麗湖 , 2006.8.20)



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