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Nag00127 (更新日:2017.5.19) 第一報告者:都市基盤整備公団, 2000.3.31
[以下、東京都高尾自然科学博物館パンフレットより許可を得て引用] ヘビイチゴという名前から、毒だと思う人もあるようですが、赤く実った果実は食べても害はありません。ただし、おいしくもありません。 イチゴという名前のとおり、イチゴとは似たところがあります。普通和名は外見や印象が似ていれば同じ名前がつくことがあるので、植物同士の仲間関係を表すとは限らないのですが、ヘビイチゴとイチゴの場合は、同じ仲間ではないけれども、まあまあ近い仲間と考えていいでしょう。 葉は3枚の小さい葉に分かれ、茎は地面をはいまわり、何より花は果実になるとき、おしべやめしべを乗せていた“台”の部分が丸く大きくふくらんで、水っぽくなって、小さな果実がその表面につくところが共通の性質です。 種子を動物に運んでもらいたい植物は、“食べられる”部分を、種子とは別に作っています。種子は消化しにくい皮で包まれて、食べられる柔らかい部分と一緒に食べられて、消化されずに糞と一緒に出てきます。ブドウなどの果物を思い浮かべてください。運び手の動物の大きさや食べ方によって、果物と種子の大きさはちがいますが、果実のつくりは同じで、ふつうは種子を果肉が包むようになっています。 けれども、一緒に食べられさえすれば、何も果肉で包む必要はありません。ブドウなら種子を飲み込まない人も、イチゴの表面についた小さな種子を、堅いからといっていちいち分ける気にはならないでしょう。食べられる部分は花の台だというのは、奇抜なアイデアですが、働きとしては種子を包む果肉と同じです。 高尾山にはヘビイチゴとそっくりなヘビイチゴの仲間が、もう1種類あります。ヤブヘビイチゴDuchesnea indica (Andr.) Focke といって、少し大きめで、丸い実についた赤い小さな種子(ほんとうはこれが果実です)が、ヘビイチゴではつやがなくて表面にしわしわがありますが、ヤブヘビイチゴではつるっとしていてつやがあるので、それぞれどんな場所が好みなのか、比べてみるのもおもしろいでしょう。
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