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スギナ
学名:

植物トクサ綱トクサ目トクサ科

Nag00001 (更新日:2017.5.19) 第一報告者:都市基盤整備公団, 2000.3.31

解説

[東京都高尾自然科学博物館配付リーフレットより転載]
ツクシはスギナの子ではなく、胞子を作る器官です。長い地下茎を伸ばしているので、草地のあちこちに、塊をつくらないで出てきます。胞子を飛ばしたら、それで役目を終えて枯れてしまうツクシは、だから柔らかくできていて、食べることができますが、夏の間中光合成をして、栄養を作らなければならないスギナは、がっしりして固く、ざらざらした珪酸塩を含んでいるために。食べるのには不向きです。
 鞘のようになった袴は葉っぱの変わったもので、ツクシではもちろん本来の働きを失っていますが、スギナでも小さい袴のような形になっていて、光合成をして働いているのは茎と枝の部分です。こういう形をした植物はスギナの仲間以外にはないので、誰でも見分けることができます。そのうちの一つであるトクサは、砥草で、珪酸塩を含んだ茎を、ものを磨くのに使ったことから名前がついたものです。
 枝は特定の所から放射状に出ていて、袴状の葉も同じ所にあります。地下を見ると、地下茎から出る根も、同じ所から放射状に出ています。枝や葉や根はどこからでも出るのではなく。9機の中でも特別な場所から出てくるので、この部分を“節”と呼びます。これは花の咲く植物でも同じで、古生代後期から生き続けているスギナの仲間でも既にそうなのですから、植物の体づくりの基本形は、花ができるはるか以前から受け継がれてきたものなのでしょう。
 スギナの子である胞子は、ツクシから飛び出すと湿ったところで発芽して配偶体となり、ここで減数分裂して卵と精子をつくり、受精して親と同じ体をつくります。受粉卵が移動することはないので、配偶体は本来のシダになる前の姿と考えて“前葉体”とも呼ばれます。小さなものですから、よほど注意深く探さないと、見つけることはできないでしょう。
 花の咲く植物と違って、精子は自力で泳いで卵に到達します。水の乏しい陸上では、これはたいへんなことです。花の咲く植物が現れると。それまで大森林をつくっていたシダ植物が花の咲く植物に土地を明け渡し、主に“草”の姿になって、森林の下草や草原の少数派へと変わっていったのは、仕方のないことだったかもしれません。それでも古い体制のまま独自の進化を遂げて、今まで生き残ってきたのです。

フォトデータ一覧

スギナ

(登坂久雄, 2007.3.3)

スギナ
ツクシの芽
(木原 章, 2006.3.9)

スギナ

(登坂久雄, 2002.3.25)

スギナ

(小林一聖, 2011.4.5)

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