[以下、東京都高尾自然科学博物館パンフレットより許可を得て引用] 冬、地面にへばりつくように緑の葉を広げている植物はいくつかあります。まるでバラの花のように葉っぱが広がっていることから、“ロゼット”とよばれますが、ハルジオンもロゼットをつくって冬を過ごす植物の一つです。 ロゼットになっているハルジオンが芽生えたのはいつだったでしょう?夏の終わり頃から小さなロゼットができていたはずです。その頃は他の草が茂っていて、気が付かなかったかもしれません。冬になって他の草が枯れてしまうと、いつのまにか大きくなったロゼットが、あちこちに見つかります。 地面近くは、日が当たればけっこうあたたかく、他の草もないので居心地はいいのかもしれません。 春になるとハルジオンのロゼットは真ん中から花茎を伸ばして、薄いピンクから白色の花を咲かせます。下を向いていたつぼみが、上を向いて小さな菊のような花を咲かせると、蜜を求めていろいろな花粉を食べている奴、長いストローのような口を伸ばして蜜を吸うチョウ、自分が食事をするだけではなく、子どもたちのために蜜や花粉を持ち帰るハチの仲間、そしてそんな虫を待ち伏せて食べてしまおうとしているクモ。花の上はにぎやかな食卓です。 さてハルジオンの方は、虫たちが知らずに花粉を運んでくれたので、次々に種子をつくって風に乗せて飛ばします。白い冠毛の生えた小さな種子は、またどこかで新しいロゼットを作ることでしょう。
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生き物図鑑を作る会