[以下、東京都高尾自然科学博物館パンフレットより許可を得て引用] 花の穂がふさふさとしたキツネのしっぽを連想させます。“孫”というのは、小さい穂が孫ギツネの可愛いしっぽのようだという意味でしょうか?キツネのしっぽは主食のネズミを捉えるとき、バランスを保ってジャンプするのに大事な役割を果たします。ふさふさとした毛は、体を外気から遮断して体温を高く保つ働きをするので、冬毛は特別にふさふさとしています。この孫ギツネのしっぽにもたくさんの毛が生えていますが、植物には体温を高く保つしかけはありませんから、別の役目があるのでしょう。葉や茎にはこれほどの毛は生えていないのですから。 しっぽの中にはたくさんの花が隠されていて、次々と出てきては咲いて、しぼんでいきます。一度に出てくる花の数は少ないけれども、一つの穂が長く咲き続けるうちには、かなりの数になります。いったい幾つの花が隠れているのでしょう?おまけに、外に出てこない「閉鎖花」もあるらしいのです。花はまのなく果実となり、実る端から種子をはじきとばします。 四稜形の茎はまっすぐ立ち上がらずに地面に倒れてから分枝し、立ち上がっていくので、一つの株で広い面積を被うことができます。おまけに節の所から切れやすいので草取りをしても茎が残りやすく、節から根を出すので、残っている茎からまた生長を始めてしまいます。夏の盛りに花を咲かせる一年生草本でありながら背伸び競争には参加しないので、高さはせいぜい40cmにしかなりません。それでも日当たりに恵まれる道ばたのようなところは、キツネノマゴにとって暮らしやすい場所なのでしょう。草刈りという「事故」も生き延びて、冬が来る前までには、たくさんの種子をはじきとばすことができるでしょう。
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