[以下、東京都高尾自然科学博物館パンフレットより許可を得て引用] 最近はヤハズエンドウと呼ばれることになったようです。良く似ていて葉や花の大きさが小さいスズメノエンドウに対して、カラスノエンドウというのはいい名前だと思うのですが、同じ呼び名を持つほかの植物とも混同を避けるために、改名することになりました。 ソラマメの仲間で、小さいながらも花は豆の花、実は豆の実です。細く柔らかい茎は、小さいうちは自立もできますが、葉の先についた巻きひげを活用して、他の植物などの支えを利用します。こうして、やがて1m以上にも伸びる茎を支えます。 豆の花にはハチの仲間がやってきます。横向きに咲いて、合わさった花びらをこじあけて、奥の蜜を吸うように作られた花は、賢くて勤勉なハチをお客にして花粉を運んでもらうためのものです。自分が満足すればいいアブやチョウと違って、ハチには巣で待っている子供たちがいますから、蜜を集める熱心さもたいへんなものです。 カラスノエンドウにはアリもよくやってきます。アリは花には関心がないようで、茎を行ったり来たり、葉の付け根をのぞき込むようなしぐさをしたりしています。アリがのぞき込んでいたのは托葉という、葉の付け根の小さな葉のようなもので、普通の葉とは形が違い、真ん中に黒い模様がついてます。アリは何をしていたのでしょう? 托葉を眺めても、アリを引きつけるようなものは見つかりません。でも黒い所の表面の様子が、ちょっと他の所とは違うように見えます。同じような模様は、さやが大きくなってきた実の、がくにもあります。 実は、これは蜜腺なのです。アリになめられないように花瓶に挿しておくと、やがて蜜が溜まってきます。托葉はつぼみから花が咲いて実が少し大きくなるまで、がくは実が大きくなってきてから蜜を出し、がくが蜜を出し始めてまもなく托葉からは蜜が出なくなるようです。 花が蜜を出すのは、花粉を運んでくれる昆虫を引きつけるためです。托葉の蜜はアリを引きつけていますが、アリは他の昆虫も食べる虫です。また、いい餌場を守ることもあります。カラスノエンドウが他の無視にむしゃむしゃと食われていないとしたら、きっとアリがいるからに違いありません。
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