[以下、東京都高尾自然科学博物館パンフレットより許可を得て引用] 春の七草の一つで、冬の間から地面に張り付くように葉を広げています。春先には、畑などの栄養の良いところに生えたものは、けっこう大きくなって食べでもあります。野菜として栽培されているものには劣りますが、野菜としてはかなりおいしい方です。それでも虫にくわれているようすがあまりないのは、まだ寒くて、虫が動けないからでしょう。 春になると真ん中から花茎が伸びてきます。こういう状態を“とうが立つ”といい、かたくなって食べにくくなってしまいます。 花茎は小さな白い花を次々に作りながら、どんどん伸びていきます。花には花びらが4枚、これはアブラナ科というグループの、共通の特徴です。咲いた花は次々に実になっていきます。 実は平たい三角で、先が少し凹んでいるので、ハート型のできそこないのようです。この形を三味線のばちに見立てて、ペンペン草の名前もつきました。春遅くなると、長く伸びて枝分かれした花茎には、三味線のばちがずらりと並ぶようになります。この実には2つの部屋があって、その中には長さ1mmほどの小さな種子が、たくさん入っています。 博物館の庭には、ナズナに良く似ていて、実の形が小さくて丸いマメグンバイナズナLepidium virginicum L.も生えています。こちらは北アメリカからやってきて、日本を始め東アジアに広がった種類で、晩秋からナズナと同じようなロゼット葉を広げています。花が咲き始めるのはナズナより遅く、春の終わりです。平たい実が2つの部屋に1つずつしは入っていません。おまけに種子には翼のようなものがついています。 マメグンバイナズナの種子は風で飛ぶのかもしれませんが、ナズナの種子はどうやって散らばっていくのでしょう?一見何の仕掛けもない種子でも、何かしらの方法があるはずなのですが…
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生き物図鑑を作る会